洪水や浸水などの水害から避難して身を守る方法は2つしかない
ヤバいと思いながらも今、避難すべきなのか分からないんだよなぁ
この記事はそんな疑問・不安を持つあなたに用意しました。
ご訪問お待ちしておりました。元防災担当の現役公務員のおとたま(@ototama46)です。
日本は災害大国と言われていますね。地震、台風、火山などなど。
図1−1−1 世界の災害に比較する日本の災害 : 防災情報のページ - 内閣府より
これだけ災害が起こっていれば本来、避難することに慣れているはずです。
でも、地震などの突発的な災害なら事前に避難することはできませんが、事前に予測できる台風や大雨の時もなかなか避難しません。
なぜか?
わたしは大きく2つ理由があると思っています。
1番の理由は自分だけは大丈夫だろうという正常性バイアスです。
人は大きな問題に直面すると目の前の現実から目をそらす、自分にそんなことが起こるわけがない、と反射的に思い込むことが心理学的にわかっています。
東日本大震災の時も、大きな地震の後には大きな津波が来るとわかっていたはずなのに「まさか自分は巻き込まれない。本当は大きな津波なんて来ない」と反射的に思い込み、あえて海のほうの自宅に戻って亡くなった方もいます。
もう1つは、正常性バイアスも影響しますが、避難しようとしたときには既にタイミングを逃してしまって、結果的に避難所に避難できなかったということです。
そう、避難するにはタイミングがすごく重要なんだよ
避難のタイミングで、避難する方法は次のように異なります。
避難方法
- 避難場所や避難時へ避難
- 自宅の2階など、できるだけ高いところへ避難
この記事では、避難行動につながる事前の準備と、実際に避難するときのタイミングと注意すべきことをまとめました。
POINT
- ハザードマップを確認
- 避難場所・避難所に避難することが第一
- 時間的に避難所が無理なら垂直避難
- 車での避難はタイミング次第では危険
そして、あなたの命を守ってください。
- 洪水や浸水は事前に対処できる
- 洪水ハザードマップを事前に確認する
- 避難場所・避難所を事前に確認する
- 洪水や浸水から逃れる避難方法はたったの2つ
- 避難場所・避難所へ避難
- 自宅の2階などできるだけ高いところへ垂直避難
- 車での避難はタイミング次第
- 身の危険を感じたら少しでも早く避難。とにかく命を守る
洪水や浸水は事前に対処できる
洪水や浸水の原因は台風や大雨です。
台風は3~4日前ぐらいから、大雨は前日などには天気予報でどの程度影響するか予想することが可能です。
ということは、事前に何らかの対策を打つことができるということ。
事前に確認しておくべきこと
- 洪水(水害)ハザードマップで浸水区域を確認
- 避難場所・避難所を確認
洪水ハザードマップを事前に確認する
ここ数年、台風や大雨で発生している洪水による浸水は、ハザードマップで示された浸水エリアとよく合っていると話題になっています。
(国土交通省のリンク)
ちなみにハザードマップには次のようなことが載っていて、これだけあれば十分、事前勉強ができます。
ハザードマップに書かれていること
- どこまで浸水するかという範囲
- 避難場所や避難所
- 災害への備え
- 避難する際の注意事項など
浸水エリアじゃないからといって絶対ではない
マップを確認したら自分の家は浸水範囲じゃなかった、良かった~
ちょっと、待って!浸水エリアじゃないからといって絶対に浸水しないわけじゃないよ
ハザードマップで示されている浸水の範囲は、1時間当たり60㎜とか24時間当たり600㎜とかある条件の雨量の時に浸水する範囲が示されています。
したがって、その条件を超える雨量だと予想される範囲より広くなる可能性があります。
また、ハザードマップに示されている浸水範囲はあくまでもコンピューターによるシミュレーション(計算)結果ですのである程度の誤差が含まれています。
したがって、ギリギリで範囲にかかっていないからといって絶対に浸水しないというわけではないということを理解したうえで、ハザードマップ(浸水想定区域)を見て、自分がいる場所が安全な場所かどうか確認してください。
範囲ギリギリであれば、むしろ水が来るかもしれないぐらいに捉えておくべきです。
避難場所・避難所を事前に確認する
洪水などの水害や地震などの災害から身を守るためには、避難場所や避難所に避難するのが一番です。
ただし、避難場所と避難所は厳密には異なるし、災害によって避難できる・避難できないといって区別もあります。
避難場所の目的は、とにかく身の安全を守ること
避難場所の一番の目的は、あなたの身の安全を守ることです。
したがって、学校や公民館だけでなく公園や広場みたいな場所も避難場所になっていることがあります。
つまり、ある災害から命が守れる場所、例えば、洪水であれば水が来ない小高い丘の上の公園や広場、津波であれば津波避難タワーなど、一般的にイメージされている学校の体育館とかじゃなく屋外の施設でも避難場所になります。
避難所は生活できるところ
避難所とは、自宅などが壊れて避難生活が送れないとか、裏山が崩れそうとかで自宅にいては身の安全を守ることができないといった人が避難生活を送る場所、つまり屋根があってある程度の生活が送れる空間がある場所が避難所となります。
学校でも校舎と体育館と校庭はすべて避難場所になりますが、避難所となると校舎や体育館のみとなります。
だから、災害が起こったとしても自宅にいて大丈夫な人は、避難所に行く必要はありません。
洪水や浸水から逃れる避難方法はたったの2つ
洪水や浸水などから身を守る方法は実は2つしかありません。
- 避難場所・避難所に行くか?
- 自宅のできるだけ高いところに逃げるか?
避難場所・避難所へ避難
できることなら避難所へ避難してください。
先に書いたように避難場所だと屋根がない公園なんかも指定されていることがあります。
今すぐ家がつぶれそうとかの緊急事態であれば、雨の中でも公園とかに逃げることも必要です。
でも当然、雨の中ですので一時的に避難場所に避難したとしても、最終的には屋根のある避難所へ避難することになります。
ただし、最寄りの避難所が洪水や土砂災害の危険がないかどうか事前に確認しておきましょう。
災害ごとに避難できる場所は違う
現在、避難場所・避難所は災害の種別ごとに指定することが災害対策基本法で市町村に義務づけられています。
理由は、東日本大震災のときに避難場所・避難所と言われていた場所に避難したにもかかわらず、津波に流されて亡くなった方がいるからです。
その場所は「災害が起きたらここに避難しましょう」と、普段から避難訓練などでみんなが逃げていた場所でした。
でも、地震だけなら逃げられたかも知れませんが、大きな津波がくれば水がくる標高の場所だったそうです。
当時は災害ごとに避難場所を分けてはいませんでしたので、みんな、普段の訓練どおりそこに逃げて流されてしまったそうです。
ですから、最寄りの避難場所・避難所が洪水や土砂災害の時に避難していい場所かどうか、もし避難できない場所ならどこが避難できる場所なのか事前の確認が重要です。
自宅の2階などできるだけ高いところへ垂直避難
大雨で外出する方が危険だったり、既に自宅の周囲で浸水が始まっているときなど、避難場所・避難所への避難する方が危険な場合は自宅のできるだけ高い場所(自宅の2階だったり、マンションやアパートの上の階)に避難しましょう。
ちなみに、このような避難を垂直避難と言います。
アパートの1階であれば上の階へひとまず避難することが可能ですが、自宅が1階建ての場合はより高い場所はないので、避難所への早めの避難を検討しましょう。
また、自宅の2階に避難するときも、1階が浸水し始める前に避難しましょう。
2019年の台風19号や大雨の時、自宅に2階があったにもかかわらず1階で溺死した人がたくさんいました。
いざ浸水し始めて2階に逃げようと思ったが、家具などが浮き始めて2階への通路をふさいでしまって逃げられなかったのでは?とのコメントが新聞に載っていました。
垂直避難でも早めの行動、タイミングが重要なんです。
とにかく、まずは命を守る行動をとりましょう。
車での避難はタイミング次第
2019年10月の台風19号や大雨では、車で避難しようとして洪水に巻き込まれて動けなくなり、そのまま水にのまれて車の中で亡くなった方が多くいました。
早めの避難として車で避難所に行くことはあると思います。
そこで重要なのは避難のタイミングです。
一般的な車の車高は20㎝以下。ということは、水深が30㎝もあるとマフラーに水が入りエンジンが止まります。
さらに水がドアに当たり始めると水圧でドアが開かなくなり、車内に閉じ込められてしまいます。
ですから、車で避難するなら、車に閉じ込められない状況(タイミング)のうちに避難することが重要です。
もし、それでも車で避難し車に閉じ込められた場合、次のようなドアの窓ガラスを叩き割る道具を車に用意しておくと、閉じ込められた場合に最悪の事態は避けることができるかもしれません。
身の危険を感じたら少しでも早く避難。とにかく命を守る
洪水や浸水は被害者たちに言わせると「ホントにあっという間に水がきた」と口をそろえて言います。
水が身の回りに迫っている状況だと、外に避難するのは正直、難しいでしょう。
そうなると、自宅の2階やアパート・マンションの上階へ避難するしか方法がなくなります。
ですから、避難所などに避難するなら少しでも早めに避難する必要があります。
特に夜間が大雨予報だと、大雨になってからでは足元もよくわからないし周りの状況もわからないので避難する方が危険です。
近年の災害の激甚化に備え、自治体は早めに避難所を開けて避難者を受け入れられるよう準備を整えています。
仮に避難所が開いていなくても、地元の自治体に連絡すると公民館などの公共施設に避難させてくれます。
とにかく、空振りを怖れず早めに避難して命を守ってください。
以上、よろしくお願い申し上げます。
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